猫の甲状腺機能亢進症とは?
甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気で、10歳以上のシニア猫に非常によく見られる内分泌疾患です。米国では猫の慢性疾患の中で最も多い病気のひとつとされています(American Association of Feline Practitioners調べ)。
甲状腺ホルモンが過剰になると全身の代謝が異常に亢進し、体に多大な負担がかかります。早期発見・早期治療が予後を大きく左右します。
主な症状
| 症状 | 詳細 |
|---|---|
| 体重減少(食欲があるのに痩せる) | 最も典型的な症状。代謝亢進で脂肪・筋肉が消耗 |
| 食欲増加 | 食べても食べても痩せていく |
| 多飲多尿 | 水をよく飲み、尿量も増える |
| 活動性の増加・落ち着きなさ | 年齢の割に異常に活発・夜に騒ぐ |
| 嘔吐・下痢 | 消化器への影響 |
| 被毛の乱れ・脱毛 | 毛づくろいが増え、毛並みが悪くなる |
| 心拍数の増加 | 心臓に大きな負担がかかる |
| 高血圧 | 失明・神経症状のリスクあり |
診断方法
動物病院で血液検査(T4値の測定)を行うことで診断できます。定期健診時に甲状腺ホルモン値を測定しておくと早期発見につながります。10歳を超えた猫は年2回の検診をおすすめします。
治療法
| 治療法 | 内容・特徴 |
|---|---|
| 内服薬(チアマゾール等) | 最も一般的。毎日投与が必要・副作用チェックが重要 |
| 甲状腺ホルモン制限食 | ヨウ素を制限した専用フードで管理。薬を飲めない猫に有効 |
| 放射性ヨウ素治療 | 根治的・日本では施設限定だが効果が高い |
| 外科的摘出 | 甲状腺を手術で除去。根治的だが麻酔リスクがある |
治療法は猫の年齢・健康状態・飼い主の生活環境によって異なります。獣医師とよく相談して最適な方法を選びましょう。
甲状腺機能亢進症と腎臓病の関係
注意すべき重要な点として、甲状腺機能亢進症の治療によって隠れていた腎臓病が顕在化することがあります。甲状腺ホルモンの過剰分泌が血流を増やし、腎機能の低下を一時的に隠していたためです。治療開始後は腎機能の定期モニタリングが必須です。
予防と早期発見のために
- 10歳以上になったら年2回の健康診断(血液検査込み)を受ける
- 「食欲があるのに痩せてきた」と感じたら早めに受診する
- 日頃から体重を記録しておく(毎月計測が理想)
【参考情報】
・American Association of Feline Practitioners (AAFP)「猫の甲状腺機能亢進症診療ガイドライン」
・日本獣医師会「猫のシニアケアに関する情報」
・European Society of Feline Medicine (ESFM)「猫の内分泌疾患ガイドライン」
・本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、治療方針については必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。

コメント